2030.05.27 (Mon)
小説目次 (※常にこの記事はトップ表示です)10年1月25日更新
2010.01.25 (Mon)
第4話 〔4〕
ふたつのカップを乗せたトレーをテーブルに置くと男性の方から莉亜へ話を切り出してきた。
「で、アンタ旅行か何かで来た訳?」
「――何故、そう思うんですか?」
飲もうとしていたカップをテーブルの上に置くと逆に尋ね返した莉亜。
迷いなく男性はシラっとした瞳で、莉亜の顔をみて答える。
「同じ場所でうろうろしてたら……誰でもわかるだろう」
「それって、私をずっと見てたって事?」
「んっ見てた訳じゃない――俺が居る場所に何度もアンタが現れてたけどね」
男性の言葉に莉亜は何も答えないで、ムッとした表情へ無意識となる。
(なんだ、もうわかってるんじゃない。わざわざ尋ねなくても)
黙ったままの莉亜の姿で、彼女が答えなくとも質問の答えを察知した様子の男性。
「否定しないって事は図星だな」
「べ、別に貴方に言う必要もないでしょ」
「だな、俺も特に興味はない。世間話だ――ただのね」
「一応、父親に知らない男には気をつけろって、言われてるもので」
「ほぉ、パパの言付けを守ってるって訳か。それは懸命だな、お穣ちゃん」
言葉とは全く裏腹な表情で、皮肉を皮肉で返した男性の顔が無表情な顔から満足気に変わる。
莉亜はその男性の言葉と満足気な表情にカチンっときた様子。
(おっお穣ちゃんって、ヒトが一番気にしてる事、なのに)
男性の嫌味を心の中で受け止めては、またもピクピクと動く顔の筋肉を抑えようと、莉亜は冷静に一言だけ返すのだった。
「そ、それはどうも……」
皮肉の応酬を最後に会話がとまると男性はトランクとは別の黒いA4サイズのバックから一冊の本を取り出す。本には本屋で買った時のままカバーがついてあった。
目の前の莉亜には気にも留めてない様子で、男性は本をお構いなく読み始める。
しばし、ふたりの間には沈黙が続くのだった。
そして、沈黙を破ったのは莉亜でもなく男性でもない、どこからともなく流れ出したメロディ。
それは莉亜の傍で鳴っていたが彼女にはきき覚えのない機械音。
音に反応したのは男性で、彼は鞄からある物を取り出す。手にしたのは折りたたみ式の携帯電話。携帯を開き、メール受信を確認した様子の彼がおもむろに鞄に手を伸ばすのだった。
「悪い、俺はもう行くから。飲み物サンキューな」
それだけ言うと男性は立ち上がりざまにテーブルの上の自分の本やらを鞄に片付け始める。
何が起ったのかわからない感じの莉亜が、ソファから立ち上がった男性へとりあえず質問した。
「あの、何かあったんですか?」
「いや、別に、仕事なだけ」
「あぁ。携帯、仕事の連絡だったんですね」
「そう、それじゃあな。知らない男にはくれぐれも気をつけろよ、お穣ちゃん」
そう言うと男性は莉亜に皮肉を返す間も与えず、カフェの出入口付近に移動した。
(ホントにっ最後まで嫌味な人!)
莉亜はそんな事を思いながら、カフェを出て行く男性の後ろ姿を文句言いた気な様子の目で追うのだった。
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―22―
「で、アンタ旅行か何かで来た訳?」
「――何故、そう思うんですか?」
飲もうとしていたカップをテーブルの上に置くと逆に尋ね返した莉亜。
迷いなく男性はシラっとした瞳で、莉亜の顔をみて答える。
「同じ場所でうろうろしてたら……誰でもわかるだろう」
「それって、私をずっと見てたって事?」
「んっ見てた訳じゃない――俺が居る場所に何度もアンタが現れてたけどね」
男性の言葉に莉亜は何も答えないで、ムッとした表情へ無意識となる。
(なんだ、もうわかってるんじゃない。わざわざ尋ねなくても)
黙ったままの莉亜の姿で、彼女が答えなくとも質問の答えを察知した様子の男性。
「否定しないって事は図星だな」
「べ、別に貴方に言う必要もないでしょ」
「だな、俺も特に興味はない。世間話だ――ただのね」
「一応、父親に知らない男には気をつけろって、言われてるもので」
「ほぉ、パパの言付けを守ってるって訳か。それは懸命だな、お穣ちゃん」
言葉とは全く裏腹な表情で、皮肉を皮肉で返した男性の顔が無表情な顔から満足気に変わる。
莉亜はその男性の言葉と満足気な表情にカチンっときた様子。
(おっお穣ちゃんって、ヒトが一番気にしてる事、なのに)
男性の嫌味を心の中で受け止めては、またもピクピクと動く顔の筋肉を抑えようと、莉亜は冷静に一言だけ返すのだった。
「そ、それはどうも……」
皮肉の応酬を最後に会話がとまると男性はトランクとは別の黒いA4サイズのバックから一冊の本を取り出す。本には本屋で買った時のままカバーがついてあった。
目の前の莉亜には気にも留めてない様子で、男性は本をお構いなく読み始める。
しばし、ふたりの間には沈黙が続くのだった。
そして、沈黙を破ったのは莉亜でもなく男性でもない、どこからともなく流れ出したメロディ。
それは莉亜の傍で鳴っていたが彼女にはきき覚えのない機械音。
音に反応したのは男性で、彼は鞄からある物を取り出す。手にしたのは折りたたみ式の携帯電話。携帯を開き、メール受信を確認した様子の彼がおもむろに鞄に手を伸ばすのだった。
「悪い、俺はもう行くから。飲み物サンキューな」
それだけ言うと男性は立ち上がりざまにテーブルの上の自分の本やらを鞄に片付け始める。
何が起ったのかわからない感じの莉亜が、ソファから立ち上がった男性へとりあえず質問した。
「あの、何かあったんですか?」
「いや、別に、仕事なだけ」
「あぁ。携帯、仕事の連絡だったんですね」
「そう、それじゃあな。知らない男にはくれぐれも気をつけろよ、お穣ちゃん」
そう言うと男性は莉亜に皮肉を返す間も与えず、カフェの出入口付近に移動した。
(ホントにっ最後まで嫌味な人!)
莉亜はそんな事を思いながら、カフェを出て行く男性の後ろ姿を文句言いた気な様子の目で追うのだった。
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2010.01.05 (Tue)
明けましておめでとうございます
明けましておめでとうございます
去年は年末が忙しく小説をかけなかったなと少し反省。
また少しずつ書いていくつもりなのでお付き合い下さいな

では、今年もよろしくお願いします
2009.11.29 (Sun)
第4話 〔3〕
中身は見事に飛び出しフロアへおもいおもいにコロコロと転がる。
四方八方に飛ぶ小銭をキャッチしようとコミカルな動きをする莉亜を見た男性は横で腹を押さえて笑い出す。
「もうっ笑ってないで散らかった小銭に貴方も一緒に拾って下さい」
「お、俺も拾うわけ?」
「そうですっ、こういう時は人として拾ってくれるのが人の優しさだと、思うんですけど」
「優しさ――ね……」
「それとも人が困ってるの見て見ぬふりですか?」
「俺もまぁ、鬼じゃないんでね。協力させてもらうよ。でも――――アンタの場合はその方が良さそうだけどね」
「それはどうも、ご協力っありがとうごさいますっ!」
莉亜の言葉で一応男性も空港に散らかった小銭を拾い集める。見える範囲ないの最後の小銭を男性が彼女のもとに届け渡す。
「これで終わりだと思うけど。本当に次か次にやらかすの好きだな、アンタ」
「それは……どうも」
(別に好きでしてる訳じゃ……ないんですけど)
とことん疲れたという感じに返答した莉亜は財布に渡された小銭を入れる。
「これだけ迷惑かけられたら、礼でもしてもらわないと割りに合わないな」
「お礼って程の事もないと思うんだけど……」
「こういう時はお礼するのが人としてのマナーだと、思うね」
「はいはい。それで、どんなお礼をしたらお気に召しまして?」
「余計な運動もさせられた事だし、喉も渇いてるから飲み物でも頂こうか」
男性がそういいながら指差した方向には雰囲気のよさそうなカフェがあった。
カフェは透明の壁に沿ってズラリとテーブルや座り心地の良さそうなソファがいくつも並んである。
莉亜がその内の出入口から一番手前の小さなテーブルの上に荷物を置いて席を取る。
なんとなく透明な壁に視線がいく莉亜。
壁はプラチックの様な素材で造られていた。
フロアの様子もよく見える。お陰で透明の壁を熱心に穴があく程、突っ立ったまま見入る莉亜。
(もしかして……ここに居る人達からさっきの私の姿見えてたのかな?)
そんな事を考えている莉亜に男性が座るように促す。そして、莉亜の注文を聞いてからカウンターへと飲み物を買いに行く。
少し火照った様な身体を深く腰掛けて座る莉亜。ソファーの艶々した革が冷たくひんやりしてちょうど良い感じに気持ちがいい。
モスグリーン色のソファーが落ち着きがない莉亜のお尻を優しく包み込んでいる。ソワソワしながらカフェの様子をあちらこちら見渡す。
莉亜の視線の先には不思議な光景が。十数時間前、飛行機に乗る前は全く関係のなかった人とカフェに来ている――――つまりは、何も知らない男性、と。
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―21―
四方八方に飛ぶ小銭をキャッチしようとコミカルな動きをする莉亜を見た男性は横で腹を押さえて笑い出す。
「もうっ笑ってないで散らかった小銭に貴方も一緒に拾って下さい」
「お、俺も拾うわけ?」
「そうですっ、こういう時は人として拾ってくれるのが人の優しさだと、思うんですけど」
「優しさ――ね……」
「それとも人が困ってるの見て見ぬふりですか?」
「俺もまぁ、鬼じゃないんでね。協力させてもらうよ。でも――――アンタの場合はその方が良さそうだけどね」
「それはどうも、ご協力っありがとうごさいますっ!」
莉亜の言葉で一応男性も空港に散らかった小銭を拾い集める。見える範囲ないの最後の小銭を男性が彼女のもとに届け渡す。
「これで終わりだと思うけど。本当に次か次にやらかすの好きだな、アンタ」
「それは……どうも」
(別に好きでしてる訳じゃ……ないんですけど)
とことん疲れたという感じに返答した莉亜は財布に渡された小銭を入れる。
「これだけ迷惑かけられたら、礼でもしてもらわないと割りに合わないな」
「お礼って程の事もないと思うんだけど……」
「こういう時はお礼するのが人としてのマナーだと、思うね」
「はいはい。それで、どんなお礼をしたらお気に召しまして?」
「余計な運動もさせられた事だし、喉も渇いてるから飲み物でも頂こうか」
男性がそういいながら指差した方向には雰囲気のよさそうなカフェがあった。
カフェは透明の壁に沿ってズラリとテーブルや座り心地の良さそうなソファがいくつも並んである。
莉亜がその内の出入口から一番手前の小さなテーブルの上に荷物を置いて席を取る。
なんとなく透明な壁に視線がいく莉亜。
壁はプラチックの様な素材で造られていた。
フロアの様子もよく見える。お陰で透明の壁を熱心に穴があく程、突っ立ったまま見入る莉亜。
(もしかして……ここに居る人達からさっきの私の姿見えてたのかな?)
そんな事を考えている莉亜に男性が座るように促す。そして、莉亜の注文を聞いてからカウンターへと飲み物を買いに行く。
少し火照った様な身体を深く腰掛けて座る莉亜。ソファーの艶々した革が冷たくひんやりしてちょうど良い感じに気持ちがいい。
モスグリーン色のソファーが落ち着きがない莉亜のお尻を優しく包み込んでいる。ソワソワしながらカフェの様子をあちらこちら見渡す。
莉亜の視線の先には不思議な光景が。十数時間前、飛行機に乗る前は全く関係のなかった人とカフェに来ている――――つまりは、何も知らない男性、と。
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2009.11.24 (Tue)
第4話 〔2〕
空港へはトンネルの様な通路が続いている。
機内出入口前にはズラリと人々が並んで外に出る順番を待っていた。
その列に従って莉亜も並ぶ。しばらく待つと空港へ続く通路からフロアに出て、入国検査の場所へと進んで行く。検査が無事終わると税関を抜けてからやっと荷物のあるフロアにたどり着くのだった。
搭乗者のトランクが乗せらてグルグル回転しているレール。
早速近づいて自分の荷物を探し始める莉亜。
何度目かのレールが周回し終わった時、赤色で光沢のある見慣れたボディーにグリーンのバンドが付いたクリスマスカラーに目を奪われる。
莉亜が家を出る時に目立つようにトランクをクリスマスカラーにコーディネイトしておいたから、そのお陰で迷わず手に取る事ができるのだった。
トランクを手に莉亜がその場を去ろうとフロアから移動するも、無数の空港出入口に足が自然に止まる。予定では空港に迎えが来る手はずなのに、今だそれらしい人影が発見できず。
莉亜はどの出入口から外に出れば良いのか、さっぱりわからずさ、迷い歩き疲れた模様。もはや口からでるのはため息と泣き言。
「全然わかんないよ……出口が」
疲れた様子の莉亜へと、機内で一緒だった男性が数メートル前まで接近していた。
不適な笑みを携えた男性がクリスマスカラーのトランクを引きずるように持つ彼女に声を掛ける。
「――おい!」
「なっ何?」
(ま、またこの人なの)
嫌そうな様子の莉亜を一蹴した男性。競歩選手みたいな歩き方をしている彼女を何処からか見ていたらしく、クスッと鼻で笑うと答える。
「アンタ、後何回空港を周る気なんだ? 随分、独りで楽しそうなんだな」
「それよりっいちいち、私に突っかかってくるのやめてくれないっ!」
あえて、何か意味ありげなふくみを持つ言葉で男性に答えを要求する莉亜。
「私、貴方に何かしたかなぁ?」
「んっ――あえて言ってもいいなら言うけど……どうする?」
小バカにしたような男性の意味ありげな表情で何が言いたいのか莉亜は察知する。
「もしかして、まだ機内の事持ち出すの? だったら答えはNOっ! 結構です」
男性から離れたい莉亜はそう言い切るとそそくさとその場を後にしようと試みるが、男性に進路を阻まれた。ピクピクを表情筋をひきつらせて無理に目の前の男性に微笑みを浮かべるが、大きな黒い瞳は笑っていない様子。
「これは私に対して、なんの冗談?」
莉亜の小さな肩がわなわなと震えていた。
「いや、アンタが俺の行く方向に突っ込んできただけだろ、冗談も何も――」
「……あ」
(もうっ私また勘違い……)
赤い顔の莉亜は相変わらず無理な笑顔のまま、男性とは逆にくるりと方向転換した。
「えっと――私はこれで」
そう言った瞬間、莉亜のポケットに入れていた財布が落下して空港の床を直撃。
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―20―
機内出入口前にはズラリと人々が並んで外に出る順番を待っていた。
その列に従って莉亜も並ぶ。しばらく待つと空港へ続く通路からフロアに出て、入国検査の場所へと進んで行く。検査が無事終わると税関を抜けてからやっと荷物のあるフロアにたどり着くのだった。
搭乗者のトランクが乗せらてグルグル回転しているレール。
早速近づいて自分の荷物を探し始める莉亜。
何度目かのレールが周回し終わった時、赤色で光沢のある見慣れたボディーにグリーンのバンドが付いたクリスマスカラーに目を奪われる。
莉亜が家を出る時に目立つようにトランクをクリスマスカラーにコーディネイトしておいたから、そのお陰で迷わず手に取る事ができるのだった。
トランクを手に莉亜がその場を去ろうとフロアから移動するも、無数の空港出入口に足が自然に止まる。予定では空港に迎えが来る手はずなのに、今だそれらしい人影が発見できず。
莉亜はどの出入口から外に出れば良いのか、さっぱりわからずさ、迷い歩き疲れた模様。もはや口からでるのはため息と泣き言。
「全然わかんないよ……出口が」
疲れた様子の莉亜へと、機内で一緒だった男性が数メートル前まで接近していた。
不適な笑みを携えた男性がクリスマスカラーのトランクを引きずるように持つ彼女に声を掛ける。
「――おい!」
「なっ何?」
(ま、またこの人なの)
嫌そうな様子の莉亜を一蹴した男性。競歩選手みたいな歩き方をしている彼女を何処からか見ていたらしく、クスッと鼻で笑うと答える。
「アンタ、後何回空港を周る気なんだ? 随分、独りで楽しそうなんだな」
「それよりっいちいち、私に突っかかってくるのやめてくれないっ!」
あえて、何か意味ありげなふくみを持つ言葉で男性に答えを要求する莉亜。
「私、貴方に何かしたかなぁ?」
「んっ――あえて言ってもいいなら言うけど……どうする?」
小バカにしたような男性の意味ありげな表情で何が言いたいのか莉亜は察知する。
「もしかして、まだ機内の事持ち出すの? だったら答えはNOっ! 結構です」
男性から離れたい莉亜はそう言い切るとそそくさとその場を後にしようと試みるが、男性に進路を阻まれた。ピクピクを表情筋をひきつらせて無理に目の前の男性に微笑みを浮かべるが、大きな黒い瞳は笑っていない様子。
「これは私に対して、なんの冗談?」
莉亜の小さな肩がわなわなと震えていた。
「いや、アンタが俺の行く方向に突っ込んできただけだろ、冗談も何も――」
「……あ」
(もうっ私また勘違い……)
赤い顔の莉亜は相変わらず無理な笑顔のまま、男性とは逆にくるりと方向転換した。
「えっと――私はこれで」
そう言った瞬間、莉亜のポケットに入れていた財布が落下して空港の床を直撃。
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